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iPS細胞>再生医療、実用化に明暗
毎日新聞 3月22日(金)22時29分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130322-00000129-mai-soci







人工多能性幹細胞(
iPS細胞)を
さまざまな組織に変化させ、
けがや病気を治す再生医療が現実味を帯び始めている。
横浜市で開かれている日本再生医療学会では、
複数の病気で「数年以内に臨床研究開始」などの
見通しが示される一方、
国の目標通りには進まない現実が明らかになるなど、
課題も見えてきた。
慶応大の岡野栄之教授は22日午後、
交通事故などによる脊髄(せきずい)損傷の患者に、
iPS細胞から作った「神経前駆細胞」を移植して
運動機能の回復を目指す臨床研究の計画を公表した。
臨床研究は、実用化に向けヒトで安全性や効果を調べる段階。
京都大iPS細胞研究所から、
拒絶反応が起きにくい医療用iPS細胞の提供を受け、
それを神経に変化させて発症後2~4週間の患者約10人に移植する。
患者自身の細胞から
iPS細胞を作る時間的余裕がなく、
他人の細胞を使うことから、
動物実験で拒絶反応の程度を調べ、
免疫抑制剤を併用してよりよい治療につなげたい考えだ。
「4年後に臨床研究を始められるよう準備を進めている」
と岡野教授。
iPS細胞の臨床研究では、
理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の
高橋政代プロジェクトリーダーらが2月、
網膜の病気「加齢黄斑変性」での実施を厚生労働省に申請済み。
この「第1号」に続くとみられる病気が
脊髄損傷、血小板減少症、重症心不全などだ。
京大iPS細胞研究所の江藤浩之教授は、
既に
iPS細胞から血小板を作ることに成功している。
血小板は、他の組織と違って体内で増殖せず
寿命も限られるため安全性が高いと見られ、
早期の応用が期待されている。
実現のために設立されたベンチャー「メガカリオン」(東京)の
三輪玄二郎社長は「5年後の市販を目指す」と意気込む。
iPS細胞から作った心臓の筋肉で
心不全治療を目指す研究は、大阪大の澤芳樹教授らが
ブタで効果をほぼ確認しており、
臨床研究開始まで数年とみられている。
iPS細胞研究の多くは、
文部科学省が「再生医療の実現化プロジェクト」で
進めてきた。
過去5年間で約217億円を投資し、
京大、慶応大、東京大、理研の4施設を
研究拠点に指定して実施した。
だが、今年度で終了する同プロジェクトの評価では、
狙った成果が得られなかった分野も少なくない。
文科省によると、約40の研究課題の半数近くが
「成果が優れていることはない」
「十分とは言えない」と判定された。
耳内部の器官、血管、軟骨などを
iPS細胞から作る研究が含まれ、
難易度が種類によって異なることも分かってきた。
評価を担当した斎藤英彦・名古屋医療センター名誉院長は
「臨床研究直前まで進める目標だったのに、
マウス実験にとどまるものもある」と指摘する。
【キーワード】
人工多能性幹細胞
(じんこう たのうせい かんさいぼう、
英: induced pluripotent stem cells)とは、
体細胞へ数種類の遺伝子を導入することにより、
ES細胞(胚性幹細胞)のように
非常に多くの細胞に分化できる
分化万能性 (pluripotency)と、
分裂増殖を経てもそれを維持できる
自己複製能を持たせた細胞のこと。
英語名の頭文字を採って iPS細胞
(アイピーエスさいぼう:iPS cells, iPSCs)と呼ばれるほか、
英語名の意訳で
誘導多能性幹細胞(ゆうどう たのうせい かんさいぼうとも呼ばれる。
2006年(平成18年)、
山中伸弥率いる京都大学の研究グループによって
マウスの線維芽細胞(皮膚細胞)から初めて作られた。
(wikipediaより)PR
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